大家様必見! 賃貸退去精算トラブル!
賃借人の退去の際に負う現状回復義務は、通常の使用による損耗、汚損等を超える損耗、汚損等であるとしてこれを超える畳表1枚の一部焦げ跡と冷蔵庫の下のさび跡の修繕費用9,975円について賃借人の負担を認めたが敷金からこれを控除した19万25円については、その返還を賃貸人に命じた事例
■事案の概要
賃借人Xは、平成3年8月、賃貸人Yからアパートの1室を借り受け、平成5年、7年、9年と更新し、平成9年11月退去した。
Xは、退去に当たり、Yに対し、敷金20万円の返還を求めたところ、Yは、平成9年の更新契約により、引渡時の原状に回復する義務があるとして、リフォーム費用を請求した。
Xは、自然損耗については原状回復義務はないとして、平成10年、敷金のうち畳の表替費用6,300円を除く19万3,700円の返還を求めて、提訴した。
Yは、引渡時の原状に回復すべき特約により、Xは36万5,400円を負担すべきであるから、これを控除すると、敷金の返還義務はない、と主張した。
■判決の要旨
これに対して、裁判所は、次のような判断を下した。
1.建物賃貸借契約の終了時に賃借人が負う原状回復義務は、通常の使用によって生じる貸室の損耗、汚損等を超える損耗、汚損等について生じ、賃借人の故意、過失による建物の毀損や、通常でない使用による毀損や劣化等についてのみその回復を義務付けたものである。
2.特約により全費用を負担させることも、契約締結の際の事情等の諸般の事情を総合して、特約に疑問の余地のないときは、賃借人はその義務を負担することになるが、
(1)本件特約は、平成7年までの契約にはなく、また、特約が加えられたことについても特に説明がなされておらず、
(2)Xは、一部を除いて通常の用法に従って本件建物を使用しており、台所の天井のクロスのはがれは雨漏りによるもので、クロスの一部汚損の痕跡は入居当初からあり、襖は当初から新品ではなく、
(3)また、更新の際、Xは、更新料を支払っているから、?Y主張のように当初の賃貸借契約以降本件特約の効力が及ぶものとすれば、Xは予期しない負担を被る結果になり、
(4)本件特約は、Yの主張で見る限り、Xはその特約の趣旨を理解し、自由な意思で承諾したものとはみられない。
3.本件建物のクロス、カーペット、畳、襖、トイレ等の損耗、汚損等については、畳表1枚の一部焦げ跡と冷蔵庫の下のさび跡を除いて、Xの故意、過失や通常でない使用により、毀損、劣化等を生じさせたとは認められない。
4.したがって、Xは畳表1枚の費用6,300円、冷蔵庫下のクッションフロア費用3,675円、計9,975円を負担すべきであるが、敷金からこれを控除した残余の19万25円の請求については、理由がある。
5.よって、Yは、Xに対し、19万25円支払え。
■まとめ
本件のように、賃貸借契約の終了時、賃借人の敷金返還請求に対し、賃貸人がリフォーム費用の負担を主張して、紛争となる事例が多い。これらについては、ガイドラインとして指針を明らかにし、関連判例を示したところである。
これによれば、原状回復条項については、「社会通念上時間の経過によって及び建物の自然の損耗についてまでそれがなかった状態にすべきことを要求しているものではなく、賃借人の故意、過失による建物の毀損や、通常でない使用方法による劣化等についてのみその回復を義務付けたもの」とするのが一般である(東京地判 平成6年7月1日、東京簡判 平成7年8月8日)。
本件判決は、これらに従った上、さらに、特約での全費用の負担は、特約に疑問の余地がなければ有効であるが、本件特約については、その追加時点で特に説明がなされておらず、Yの主張するようには、Xは自由な意思で承諾していないとした。京都地判 平成7年10月5日が修理、取替特約について下した判断と同旨である。
結局、畳の焦げ跡と冷蔵庫の下のさび跡を除く損耗、汚損等は、通常の使用による損耗、汚損等であるとして、敷金のほとんどの返還を命じた。
一連の判決を踏襲したものであるが、参考になる点が多いと思われる。
賃貸住宅紛争防止条例!
■事案の概要
賃借人Xは、平成3年8月、賃貸人Yからアパートの1室を借り受け、平成5年、7年、9年と更新し、平成9年11月退去した。
Xは、退去に当たり、Yに対し、敷金20万円の返還を求めたところ、Yは、平成9年の更新契約により、引渡時の原状に回復する義務があるとして、リフォーム費用を請求した。
Xは、自然損耗については原状回復義務はないとして、平成10年、敷金のうち畳の表替費用6,300円を除く19万3,700円の返還を求めて、提訴した。
Yは、引渡時の原状に回復すべき特約により、Xは36万5,400円を負担すべきであるから、これを控除すると、敷金の返還義務はない、と主張した。
■判決の要旨
これに対して、裁判所は、次のような判断を下した。
1.建物賃貸借契約の終了時に賃借人が負う原状回復義務は、通常の使用によって生じる貸室の損耗、汚損等を超える損耗、汚損等について生じ、賃借人の故意、過失による建物の毀損や、通常でない使用による毀損や劣化等についてのみその回復を義務付けたものである。
2.特約により全費用を負担させることも、契約締結の際の事情等の諸般の事情を総合して、特約に疑問の余地のないときは、賃借人はその義務を負担することになるが、
(1)本件特約は、平成7年までの契約にはなく、また、特約が加えられたことについても特に説明がなされておらず、
(2)Xは、一部を除いて通常の用法に従って本件建物を使用しており、台所の天井のクロスのはがれは雨漏りによるもので、クロスの一部汚損の痕跡は入居当初からあり、襖は当初から新品ではなく、
(3)また、更新の際、Xは、更新料を支払っているから、?Y主張のように当初の賃貸借契約以降本件特約の効力が及ぶものとすれば、Xは予期しない負担を被る結果になり、
(4)本件特約は、Yの主張で見る限り、Xはその特約の趣旨を理解し、自由な意思で承諾したものとはみられない。
3.本件建物のクロス、カーペット、畳、襖、トイレ等の損耗、汚損等については、畳表1枚の一部焦げ跡と冷蔵庫の下のさび跡を除いて、Xの故意、過失や通常でない使用により、毀損、劣化等を生じさせたとは認められない。
4.したがって、Xは畳表1枚の費用6,300円、冷蔵庫下のクッションフロア費用3,675円、計9,975円を負担すべきであるが、敷金からこれを控除した残余の19万25円の請求については、理由がある。
5.よって、Yは、Xに対し、19万25円支払え。
■まとめ
本件のように、賃貸借契約の終了時、賃借人の敷金返還請求に対し、賃貸人がリフォーム費用の負担を主張して、紛争となる事例が多い。これらについては、ガイドラインとして指針を明らかにし、関連判例を示したところである。
これによれば、原状回復条項については、「社会通念上時間の経過によって及び建物の自然の損耗についてまでそれがなかった状態にすべきことを要求しているものではなく、賃借人の故意、過失による建物の毀損や、通常でない使用方法による劣化等についてのみその回復を義務付けたもの」とするのが一般である(東京地判 平成6年7月1日、東京簡判 平成7年8月8日)。
本件判決は、これらに従った上、さらに、特約での全費用の負担は、特約に疑問の余地がなければ有効であるが、本件特約については、その追加時点で特に説明がなされておらず、Yの主張するようには、Xは自由な意思で承諾していないとした。京都地判 平成7年10月5日が修理、取替特約について下した判断と同旨である。
結局、畳の焦げ跡と冷蔵庫の下のさび跡を除く損耗、汚損等は、通常の使用による損耗、汚損等であるとして、敷金のほとんどの返還を命じた。
一連の判決を踏襲したものであるが、参考になる点が多いと思われる。
賃貸住宅紛争防止条例!
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